Emotet(エモテット)とは?被害事例や感染した場合の対処法と予防方法を解説
メールが主要な感染ルートのEmotetとは、情報の窃盗や他のマルウェア感染を目的とした悪意あるプログラムのことで、手口が巧妙化しているため注意が必要です。本記事では、Emotetの概要や感染した際の対処法と予防策、被害事例について解説します。
目次
被害が再拡大し、近年注目されている「Emotet(エモテット)」をご存じでしょうか?Emotetとは、情報の窃盗や他のマルウェア感染を目的とした悪意あるプログラムのことです。電子メールが主要な感染ルートとなっており、手口が巧妙化しているため注意が必要です。
本記事では、Emotetの概要や感染した際の対処法と予防策、被害事例について詳しく解説します。Emotetについて知りたい方、サイバー攻撃を防ぎたい方は、ぜひ参考にしてください。
Emotet(エモテット)とは
Emotet(エモテット)とは、電子メールが主な感染経路の悪意あるプログラムであるマルウェアの一種です。Emotetに感染すれば、情報の窃盗や他のマルウェアに感染するなどの被害を受けます。
そもそもEmotetは、2014年にドイツとオーストリアの銀行で発見されたマルウェアです。2014年以降Emotetの被害は世界中に広がり、2019年から2020年にかけて日本でも多数の企業や組織が被害を受けました。とくに、2019年10月から日本における被害数が急増し、2019年度の第4四半期に確認された感染台数は1万件以上です。2019年11月には、日本のセキュリティ組織である一般社団法人JPCERTコーディネーションセンターや内閣官房長官も、Emotetに関する注意喚起を行っています。
参考:マルウェアEmotetの感染再拡大に関する注意喚起|JPCERT/CC
2021年1月27日に欧州刑事警察機構(EUROPOL)が、欧米8ヵ国の協力を得てEmotetの攻撃基盤を無害化する大規模な作戦を実施し、脅威は大幅に減少しました。ただ、2021年11月には再び被害が拡大し始め、2023年3月7日以降新たな手法も生み出されています。
被害が深刻化した背景とEmotetの特徴

被害が深刻化した背景には、手口の巧妙さがあります。ここからは、Emotetの被害を拡大させた特徴について詳しく解説します。
通常のメールを装っている
Emotetの主要な感染ルートとなっているメールには、違和感を覚えさせない工夫がされています。例えば、正規のサービス業者を偽ったり、メールの件名に「RE:」をつけ実際の返信を装ったりするケースがありました。また、2020年1月には新型コロナウイルス感染症に関する保健所からの案内を装うメールも存在しました。
ウイルス対策ツールで検知しづらい
ウイルス対策ツールで検知しにくく、セキュリティ担当者に気づかせない工夫が施されている点も、Emotetの特徴です。
他のマルウェアへの感染により被害を拡大させるプラットフォームの役割を持つEmotetには、悪意あるコードが含まれていないケースもあり、発見が簡単ではありません。ウイルス対策ソフトでは検知できない、マクロなどの正規機能を悪用しています。さらに、感染原因となるファイルがデバイスに保存されないため、発見しにくく被害が拡大しやすいことも特徴です。
Emotetに感染した際の被害

Emotetに感染すれば、以下の被害を受けるリスクがあります。
- 重要な情報が漏洩する
- 身代金を要求される
- 被害が拡大する
重要な情報が漏洩する
Emotetに感染した際の代表的な被害は、重要な情報の漏洩です。
Emotetに感染した場合、情報の窃盗を目的としたモジュールがダウンロードされます。モジュールはパソコンやスマートフォンなどのデバイス内情報を収集するとともに、外部へ流出させるルート構築を行います。システムにログインするためのID・パスワードや、保存されている取引先などのアドレスが流出すれば、被害が拡大するでしょう。
身代金を要求される
Emotetの感染から、身代金の要求につながるケースもあります。
他のマルウェア感染の踏み台となるEmotetにより、ランサムウェアにも感染する事例が少なくありません。ランサムウェアとは、パソコンのロックや保存データの暗号化により、操作できない状態にするマルウェアのことです。ロック・暗号化の解除や、抜き取った情報を暴露するなどの脅迫で、攻撃者は身代金を要求します。
被害が拡大する
コンピューターに不正侵入する入り口であるバックドアを仕掛ける機能が実装されている点も、Emotetの特徴です。バックドアが設置・利用されれば、通常の認証プロセス通過が不要になるため、不正アクセスされやすくなります。
⇒バックドアとは?設置される手口や主な被害事例、対策方法を解説
また、Emotetには自己増殖機能が備わっており、ネットワークを通じて、他のデバイスにも被害が拡大します。Emotetに感染した1台のパソコンから、全てのパソコン感染につながったケースも多くあります。
被害の拡大先は社内だけではありません。Emotetに感染したデバイスから送付されるメールに、Emotetが仕込まれる可能性があります。取引先やパートナー企業にまで、被害が拡大するリスクが存在するため、注意が必要です。
Emotetに感染した場合の対処法

万が一、Emotetに感染した場合は以下の対処法を実施しましょう。
- 感染デバイスをネットワークから切り離す
- 感染デバイスに保存されたパスワードを変更する
- 他のデバイスを確認する
- 被害を受ける可能性がある関係者に連絡する
ここからは、上記それぞれの対処法について詳しく解説します。
感染デバイスをネットワークから切り離す
まず、感染したデバイスをネットワークから切り離しましょう。Emotetは自己増殖する機能が実装されており、ネットワークでつながる他のデバイスに感染が拡大するケースが一般的です。具体的には、Wi-Fiの接続や有線LANを外します。
また、感染が疑われる外付けHDDやUSBなどメディアの利用も中止しましょう。被害の拡大を防止できます。
感染デバイスに保存されたパスワードを変更する
感染したEmotetを排除しても、IDやパスワードなどの認証情報が漏洩していれば、その情報が不正利用されます。感染デバイスに保存されているパスワードは即時変更しましょう。
また、メールからEmotetがバラまかれ、自分が加害者になったり、被害が拡大したりする恐れがあるため、利用を一時停止することも重要です。パスワードの使いまわしを避け、二要素認証などを設定すれば、不正ログインを防ぐことができます。
他のデバイスを確認する
他のデバイスがEmotetに感染していないかの調査も欠かせません。ネットワークでつながったデバイスは、必ず確認しましょう。一度除去しても、他のデバイスから再度Emotetに感染するリスクがあります。
被害を受ける可能性がある関係者に連絡する
Emotetに感染した場合は、被害を受ける可能性がある関係者に連絡して、注意喚起を行いましょう。デバイスに保存されていたメールアドレスは、漏洩している可能性が高いと考えられます。連絡やプレスリリースの発表など、迅速な対応は信頼低下の防止につながります。
Emotet(エモテット)の予防策

Emotetの主な予防策は以下の通りです。
- メールの添付ファイルを不用意にダウンロードしない
- OSなどを最新版に保つ
- マクロ実行を無効化する
- 社内のリテラシー向上を図る
- セキュリティ対策ツールを利用する
順に解説します。
メールの添付ファイルを不用意にダウンロードしない
Emotetの主要な感染ルートは、添付ファイルのダウンロードです。身に覚えのないメールに添付されたファイルのダウンロードは避けましょう。また、記載されているリンクのクリックも、他のウイルス感染原因になります。
パソコンがウイルスに感染する主な経路の詳細を知りたい方は、以下もご覧ください。
⇒パソコンがウイルス感染したらどうする?原因や症状、4つの対策方法について解説
OSなどを最新版に保つ
OSなどを最新版に保つことも、Emotet感染対策には重要です。デバイスやシステムは、弱点や欠陥である脆弱性をなくす目的で、定期的なアップデートが行われています。最新版に保たなければ脆弱性が残り、サイバー攻撃で狙われるでしょう。
マクロ実行を無効化する
Emotetでは、メールに添付されたファイルのマクロが実行されるケースが多いため、マクロ実行の無効化も有効です。WordやExcelなどにおけるマクロの自動実行を、無効化すると良いでしょう。無効化設定をすれば、マクロを含むファイルの開封時に、警告メッセージが表示されます。
社内のリテラシー向上を図る
ユーザー操作が原因でEmotetに感染するケースもあるため、社内のリテラシー向上を図りましょう。例えば、定期的な研修を実施して、Emotetを含めたサイバー攻撃の特徴や対処・予防法を周知します。
セキュリティ対策ツールを利用する
セキュリティ対策ツールの利用も有効です。具体的には、怪しいメールをブロックする機能を備えたツールや、エンドポイントセキュリティが挙げられます。
エンドポイントセキュリティとは、ネットワークにつながる最終デバイスのデータ収集や端末の動作監視、サイバー攻撃の発見と対処を実施するシステムのことです。Emotetの予防や被害の拡大に有効です。
Emotetの被害事例

Emotetの被害を受けている企業や組織は多数存在します。ここからは、神戸大学とNTT西日本ビジネスフロントにおける被害事例について詳しく解説します。
神戸大学
神戸大学では、大学院医学部内の端末がEmotetに感染して、保存されていたメールアドレスややり取りした内容が盗まれました。また、窃盗された情報を基に、マルウェアが添付されたメールの送信が行われました。過去のメール内容も悪用され、悪意あるものかが判断しにくいため、注意喚起も行っています。
参考:神戸大学構成員を騙る不審メールについてのお知らせとお詫び|神戸大学
NTT西日本ビジネスフロント
NTT西日本ビジネスフロントも、Emotet感染の被害を受けています。2019年12月10日に、従業員が取引先を名乗る不審メールの添付ファイルを開封したことで、Emotetに感染しました。その結果、パソコンに保存されていた1,343件のメールアドレスに流出した可能性があり、NTT⻄日本グループの社員を装った不審メールが複数の方へ送られていると発表しました。
参考:NTT ⻄日本グループ会社社員を装った不審なメール(なりすましメール) に関するお詫びと注意喚起について|⻄日本電信電話株式会社
まとめ

Emotetとは、電子メールが主な感染経路の悪意あるプログラムであるマルウェアの一種です。Emotetに感染すれば、情報の窃盗や他のマルウェアに感染するなどの被害を受けます。 また、自己増殖機能も有しており、ネットワークでつながったデバイスにも被害が拡大するケースがあります。
感染予防には、セキュリティ対策ツールの利用やマクロ実施の無効化、社内リテラシーの向上が効果的です。
ただ、近年のEmotetは巧妙化しており、被害を拡大させるためのさまざまな工夫が施されています。情報漏洩を100%防ぐことが困難なため、漏洩をいかに早く察知し、適切な対応を取れるかが重要です。情報漏洩監視ツール「ダークウェブアイ」は、会社のドメイン情報を入れるだけで「いつ」「どこから」「どんな情報が」漏れてしまったのか、一瞬で分かります。
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