サプライチェーンリスクとは?種類や発生する要因、リスク軽減のポイントを解説
サプライチェーンリスクとは、商品の原材料調達から顧客への提供までのプロセスで発生するトラブルのことです。具体的には、自然災害や政治的要因などにより原材料供給の停止が挙げられます。また、近年はセキュリティが脆弱な関連会社を通じてサイバー攻撃を受けるケースも少なくありません。
本記事では、サプライチェーンリスクの概要やサプライチェーン攻撃の種類、リスクを軽減するポイントについて詳しく解説します。
目次
サプライチェーンリスクとは、商品の原材料調達から顧客への提供までのプロセスで発生するトラブルのことです。具体的には、自然災害や政治的要因などにより原材料供給の停止が挙げられます。また、近年はセキュリティが脆弱な関連会社を通じてサイバー攻撃を受けるケースも少なくありません。
本記事では、サプライチェーンリスクの概要やサプライチェーン攻撃の種類、リスクを軽減するポイントについて詳しく解説します。サプライチェーンリスクについて知りたい方、リスクを軽減したい方は、ぜひ参考にしてください。
サプライチェーンリスクとは
サプライチェーンリスクとは、サプライチェーン上で発生するさまざまな脅威のことです。サプライチェーンで問題が起きれば、商品・サービスの供給が滞り顧客や取引先に迷惑をかける可能性があります。従来、サプライチェーンリスクとは災害や仕入れ先のトラブルなど、物理的な脅威のことを指していました。ただ、近年は関連会社を通じて行われるサプライチェーン攻撃の被害を指すケースが増えています。
ここからは以下の事項について解説します。
- サプライチェーンの概要
- サプライチェーンリスクの種類
サプライチェーンの概要
そもそもサプライチェーンとは、商品の原材料調達から顧客への提供までにおける以下一連のプロセスのことです。
- 原材料の調達
- 製造
- 流通
- 販売
- 購入後のサポートやサービス提供
サプライチェーンを最適化すれば、コスト削減や納期の短縮、顧客満足度の向上など多くのメリットを得られ、企業競争力が高まります。一方、サプライチェーンの問題やトラブルの発生は、リソースが無駄になったり商品・サービスを顧客に提供できなくなったりする原因です。
なお、サプライチェーンについて知りたい方は以下もご覧ください。
⇒サプライチェーンとは?主な課題や重要な理由、改善する方法を解説
サプライチェーンリスクの種類
サプライチェーンリスクは大きく以下の2種類に分かれます。
- 物理的リスク
- サイバーリスク
順に解説します。
物理的リスク
物理的リスクとは、自然や外部環境の問題により発生するリスクのことです。具体的には以下が該当します。
- 自然災害:地震や火事、台風などに起因する設備・物流ルートの破壊
- 政治的要因:戦争やテロ、貿易摩擦などが原因で発生する材料不足
- 品質問題:不良品によるリコールや信用の低下
物理的リスクに直面すれば、商品を製造できなかったり納期に遅れたりする可能性があります。
サイバーリスク
サイバーリスクとは、関連会社を通じてシステムやデータなどに悪影響を受けることです。例えば以下が該当します。
- 情報漏洩:顧客情報や機密データの漏洩
- 不正アクセス:システムへの侵入によるデータの改ざんや窃盗
- システム障害:システムの停止による業務やサービス提供の停止
サイバーリスクは、企業の信用やブランドイメージが低下する原因です。また、取引先への賠償金支払いが発生するリスクもあります。
サプライチェーン攻撃における3つの種類
近年危険性が増加しているサプライチェーン攻撃には、以下3つの種類が存在します。
- ビジネスサプライチェーン攻撃
- サービスサプライチェーン攻撃
- ソフトウェアサプライチェーン攻撃
順に解説します。
ビジネスサプライチェーン攻撃
ビジネスサプライチェーン攻撃とは、ターゲットの協力会社や子会社を通じて行う攻撃のことです。サプライチェーンの上流に位置する規模の大きい企業や組織は万全のセキュリティ対策を行っている一方で、下流の企業はセキュリティ強度が低いケースがあります。ビジネスサプライチェーン攻撃では、セキュリティ対策が甘い協力会社・子会社などにまず侵入し、ネットワークを通じてターゲット企業に侵入します。
サービスサプライチェーン攻撃
サービスサプライチェーン攻撃とは、ターゲット企業が用いているシステムやサービスの提供メーカーを攻撃する手法のことです。例えば、ターゲットの利用するクラウドサーバーに不正アクセスして、ターゲット企業の保管情報を盗みます。また、サービス提供メーカーをマルウェア感染させることにより、ターゲット企業にも感染を拡大させるケースがあります。
ソフトウェアサプライチェーン攻撃
ソフトウェアサプライチェーン攻撃とは、ソフトウェアにおける開発や製造、もしくは提供段階のいずれかに侵入して、ソフトウェアに不正なコードやマルウェアを仕掛ける攻撃のことです。他のサプライチェーン攻撃は特定の企業や組織を対象に行われることが一般的ですが、ソフトウェアサプライチェーン攻撃は不特定多数の企業がターゲットになります。
なお、サプライチェーン攻撃の詳細は以下をご覧ください。
⇒サプライチェーン攻撃とは?攻撃された場合のリスクや被害事例、防止策を解説
サプライチェーンリスクが発生する代表的な原因
サプライチェーンリスクが発生する代表的な原因は以下の3つです。
- 関連会社を踏み台に攻撃される
- 関連会社の被害が波及する
- 内部の不正行為やヒューマンエラーが発生する
順に解説します。
関連会社を踏み台に攻撃される
多くのサプライチェーンリスクは、セキュリティ対策の整っていない関連会社が踏み台として使われるケースが一般的です。例えば、以下の状態にある関連会社にまず侵入した後に、ネットワークを通じてターゲット企業にも侵入します。
- OSのアップデートが行われておらず脆弱性が残っている
- セキュリティ対策ツールを利用していない
- アカウント管理や権限設定が適切に行われていない
セキュリティ対策が不十分な関連会社を踏み台にすることで、直接ターゲット企業を攻撃するよりも成功率が高まります。
関連会社の被害が波及する
関連会社がサイバー攻撃などの被害に遭い、自社にも悪影響が波及するケースも存在します。具体的には以下が挙げられます。
- 関連会社のシステム停止により、原材料・部品が供給されない
- 自社で利用しているサービスがサイバー攻撃に遭い、システムを利用できない
- 関連会社が保有する自社の情報が漏洩する
自社が直接的にサイバー攻撃を受けるわけではありませんが、間接的に悪影響を被ります。
内部の不正行為やヒューマンエラーが発生する
サプライチェーンリスクは外部だけに存在するわけではありません。協力会社や子会社、自社の従業員が情報を盗み出すなどの不正行為が行われるケースもあります。
また、悪意はなくても関係ない先に機密データをメールで送付するなどヒューマンエラーで危機に直面することもあるでしょう。従業員のミスが直接的な情報漏洩などの原因にならなくても、サイバー攻撃者に狙われ不正アクセスにつながるケースも存在します。
サプライチェーンリスクを軽減するポイント
最後に、サプライチェーンリスクを軽減する以下6つのポイントを紹介します。
- 供給元のリスク分散
- 代替案の準備
- 自社のセキュリティ強化
- 従業員への教育とルールの明確化
- 取引先の慎重な選定
- 責任範囲の明確化とセキュリティ契約の締結
供給元のリスク分散
サプライチェーンリスクの軽減には、原材料や部品の供給元を複数用意してリスク分散することが重要です。供給元が一つの場合、その供給がストップすれば商品を提供できなくなります。サイバー攻撃だけでなく災害やテロ、政治的な問題など、想定外の事態で供給できなくなる可能性はゼロではありません。供給元を絞ればコストメリットがあるかもしれませんが、万が一の事態に備えて複数用意することがおすすめです。
代替案の準備
リスクを念頭に置き、代替案を準備しておくことも欠かせません。昨今は、以下の頭文字を取り将来の予測が困難なVUCA時代といわれています。
- Volatility:変動性
- Uncertainty:不確実性
- Complexity:複雑性
- Ambiguity:曖昧性
供給元の業務停止や製造機器のトラブル、流通の遅れなど、いつなんらかの問題が発生してもおかしくありません。代替案を用意しておけば、冷静かつ迅速な行動が可能となり被害を最小限に抑えられます。
自社のセキュリティ強化
自社のセキュリティ強化も、サプライチェーンリスクの軽減に有効です。関連会社を通じたサプライチェーン攻撃だけでなく、自社を直接狙うサイバー攻撃が数多く存在します。近年はサイバー攻撃が増加・高度化しており、セキュリティ対策を怠れば多くの被害を受けるでしょう。
また、サイバー攻撃の被害を最小化する対策も欠かせません。サプライチェーン攻撃は、自社だけの対策では完全な防止が困難です。関連会社を通じて攻撃されたことにすぐ気付く体制の整備が重要です。
従業員への教育とルールの明確化
従業員への教育とルールの明確化も、サプライチェーンリスクの軽減に役立ちます。セキュリティ対策ツールなどを活用したとしても、従業員の不用意な行動が原因でサイバー攻撃を仕掛けられる恐れがあります。定期的に、最新のサイバー攻撃手法や被害事例、避けるべき行動などを伝えリテラシーを高めましょう。
また、ルールの整備により不正がしにくい体制の整備も重要です。例えば、USBメモリなどの記録媒体をデバイスで使えない設定を行うと良いでしょう。ログを監視して、不審な行動や通信を迅速に検知する仕組みの構築も効果的です。
取引先の慎重な選定
取引先の慎重な選定も欠かせません。サプライチェーンリスクを避けるには、自社だけが対策を行えば良いわけではありません。サプライチェーン攻撃を防ぐ有効な対策の一つは、セキュリティレベルの高い取引先を選定することです。そもそも、取引先がサイバー攻撃を防止できれば自社に被害が及ぶことはありません。
取引先を選定する際には、セキュリティ対策の状況を確認すると良いでしょう。例えば、組織の安全な情報管理体制が整っているかを第三者機関が評価して認定を与える「ISMS認証」を取得した企業であれば、セキュリティレベルが高いと考えられます。また、自社で独自にチェックシートなどを用意して安全性を確認するのも良いでしょう。セキュリティ対策だけでなく物理的なトラブルへの対策有無も確認すれば、供給が途切れるリスクを抑えられます。
責任範囲の明確化とセキュリティ契約の締結
取引を開始する際に、トラブルが発生した場合の責任範囲を明確にしておくことも重要です。責任範囲を明確化すれば、以下の事態を防止できます。
- 関連会社が適切なセキュリティ対策を行わない
- インシデント発生時に責任の所在に関するトラブルが発生する
- 問題が起きた際、原因究明できない
責任範囲を明確にしたらセキュリティ契約の締結も行います。契約の締結で責任の所在を明確にすることにより、関連会社の責任感を高められます。また、トラブル発生時の迅速な解決がしやすくなるでしょう。
サプライチェーンリスクを根本的に防ぐためには、リスクの把握だけでなく、全体を最適に管理する仕組みが欠かせません。
詳しくは以下のサプライチェーンマネジメントの記事をご覧ください。
⇒サプライチェーンマネジメント(SCM)とは?メリット・デメリットや成功事例を解説
まとめ
サプライチェーンリスクとは、商品の原材料調達から顧客への提供までのプロセスで発生するトラブルのことです。従来は、災害や仕入れ先のトラブルなど物理的な脅威を指すことが一般的でしたが、近年は関連会社を通じて行われるサプライチェーン攻撃の被害を指すケースが増えています。
サプライチェーンリスクの軽減には、供給元のリスク分散や代替案の準備、取引先の慎重な検討とセキュリティ契約の締結が重要です。サプライチェーンリスクは、自社が対策を行うだけでは不十分で、関連会社と協力して取り組むことが求められます。
また、自社のセキュリティ強化を図るとともに、他社を通じて攻撃された際に迅速に気付き対処する体制の整備も求められます。昨今はプライバシー保護に関する注目が高まっており、万が一保有する個人情報を盗まれれば、企業の信用やブランドイメージが低下するでしょう。情報漏洩監視ツール「ダークウェブアイ」は、会社のドメイン情報を入れるだけで「いつ」「どこから」「どんな情報が」漏れてしまったのか、一瞬で分かります。
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