ハイパーオートメーションとは?RPAとの違い、メリットや成功ポイントをご紹介

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ハイパーオートメーションとは?RPAとの違い、メリットや成功ポイントをご紹介

業務効率を上げたいと考える企業にとって、今、「ハイパーオートメーション」という言葉が注目されています。Automationとある通り、自動化の一種です。従来の単なる業務の自動化ではなく、デジタル技術の進化により、全ての業務プロセスを自動化することを目指しています。
この記事では、ハイパーオートメーションとは何か、なぜ注目されているのか、メリットや導入時のポイントを解説します。

ハイパーオートメーションとは

ハイパーオートメーションとは、業務プロセス全体の自動化を目的とした先進技術です。

機械学習(ML)、人工知能(AI)、RPAなどの技術を組み合わせ、さらにそれらを既存のシステムと連携させることで、従来の自動化では手が届かなかった業務全体の自動化と効率化を実現します。この技術は、単に特定のタスクを自動化するだけでなく、組織の業務プロセス全体を見直し、全面的に自動化することを可能にします。発見から分析、設計、実行、測定、モニタリングに至るまで、一連のプロセスを自動化し、継続的に改善を図ることができます。
ハイパーオートメーションは、ビジネスプロセスのスピードと正確性を大幅に向上させ、組織のDXを加速させるためのカギとなります。

注目される背景

ハイパーオートメーションが注目を集めた背景には、複数の要因があります。

まず、IT分野をリードするガートナー社が「Gartner IT Symposium/Xpo」において、2020年2021年、そして2022年と3年連続で戦略的テクノロジ・トレンドのトップ10にハイパーオートメーションを選出したことが大きなきっかけとなりました。これは、ハイパーオートメーションが今後のビジネスにおける重要な技術であるという世界的な認識を示しています。

さらに、「ガートナー ITインフラストラクチャ、オペレーション&クラウド戦略コンファレンス」において発表された「2024年に向けて獲得すべきマインドセット」では、2030年までに事務的な業務の80%はハイパーオートメーションによって置き換えられるとガートナー社はみています。

これからは、テクノロジーにできることはテクノロジーに任せ、人は「より人間らしい」仕事をする時代としています。

類似の言葉

オートメーション

オートメーション(Automation)は全般的な自動化を指します。世界中のあらゆる企業や組織がオートメーションによる業務の効率化や生産性向上を追い求めています。ハイパーオートメーションはこのオートメーションの一種と言えます。

マーケティングオートメーション

マーケティングオートメーションはWebマーケティング施策の自動化、効率化、省力化を図る技術です。CRMやメール配信管理などを一元化するツールを指す場合もあります。

インテリジェントオートメーション

インテリジェントオートメーション(Intelligent Automation、IA)は、AI(Artifical Intelligence)とRPAを組み合わせた高度な自動化技術です。IAはハイパーオートメーションの一種です。

ハイパーオートメーションで活用される4つの技術

ハイパーオートメーションは先端技術を活用し、それらを組み合わせて業務プロセスの自動化をさらに促進します。そこには、どのような技術が利用されるのでしょう。

RPA、ローコード、AI、MLといった技術は、オートメーションの分野で活用される技術です。現在も有効な活用法が検討され、進化の続く先端技術分野と言えるでしょう。

RPA

RPAはRobot Proccess Automationの略で、人間の行っている業務をロボットが変わって行う技術です。ここでいう業務はコンピュータ上の操作などの知的労働が当てはまることが多く、物理的なロボットに限られません。

RPAについて詳しく知りたい方は以下の記事をぜひご覧ください。
➡「RPAとは?ビジネスにおける活用事例やおすすめのツールを解説
➡「【RPA】RPAの導入を成功させるには?手順や導入事例を解説
➡「厳選!おすすめRPAツール8選。選び方のポイントもご紹介
➡「RPA導入事例一挙大公開!【部門別・業界別】に解説

ローコード

ローコードは少ないコードでアプリケーション開発を行う技術及びそのためのプラットフォームです。GUIを用いて部品を組み立てることでアプリケーションの構築が可能です。近似の技術としてノーコードがあります。

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AI

AIは人工知能のことで、各種の人間が行うような判断をコンピュータが代替する技術です。アルゴリズムや学習により判断の精度を高めることができます。

ML

ML(Machine Learning)は機械学習のことで、AIの一種です。データを使って学習し、判断精度を高めることができます。

ハイパーオートメーションは、これらの技術とERP、SCM、CRMなどの既存システムとの連携により、企業や組織の業務プロセス全体の自動化を図ります。

ハイパーオートメーションとRPAの違い

ハイパーオートメーションとRPAはともに業務自動化技術ですが、その範囲と適用において重要な違いがあります。

RPAは、主に繰り返し行われる単純なタスクの自動化に焦点を当てています。例えば、データ入力、フォームの自動化、単純なデータ処理など、ルールベースのプロセスを自動化するのに適しています。RPAは操作を模倣することでこれらのタスクを実行し、人間の作業負担を軽減します。

一方で、ハイパーオートメーションはRPAを基盤としながらも、AI、ML、プロセスマイニング、自然言語処理などの複数の技術を組み合わせて、より広範な業務プロセスの自動化を目指します。ハイパーオートメーションは、単にタスクを自動化するだけでなく、プロセスを理解し、改善し、それらを統合して企業の業務全体を変革することを目的としています。これにより、企業は業務の効率化だけでなく、意思決定の高度化や顧客体験の向上など、より複雑で価値の高い成果を実現できるようになります。

要するに、RPAは業務自動化の「手段」の一つとして位置づけられるのに対し、ハイパーオートメーションは複数の自動化技術を統合して「戦略的」に業務プロセス全体を改革するアプローチと言えます。

ハイパーオートメーションのメリット

ハイパーオートメーションにはどのようなメリットがあるのでしょうか。主な以下の3つのメリットを紹介します。

業務全体の効率化・生産性向上

従来の自動化は作業の一部であったため、業務全体の効率化には課題が残ったままでした。

ハイパーオートメーションは、自動化範囲の発見・設計から再評価・再試行まで一連のプロセスを自動化できます。中でも、自動化する業務の発見は人力では難しく、見つけ出せたとしても自動化ツールの機能を十分に使いこなせない設計であることが多いです。
ハイパーオートメーションなら、新たに自動化できる業務を容易に発見し、最も効率的な業務プロセスを導き出すことで、自動化ツールの機能を最大限に引き出します。

専門性の民主化の実現

「専門性の民主化」もガートナー社が発表した2020年の戦略的テクノロジ・トレンドの一つです。

専門性の高い、スキルが必要な業務プロセスがハイパーオートメーションにより自動化されることで、専門のスキルや知識を持つ人に依存していた業務をより多くの人が効率的に行えるようになります。業務が標準化されることで属人化も防ぐことができます。このような効果を「専門性の民主化」と言います。

データの蓄積によるさらなる業務改善

ハイパーオートメーションの適用により相乗効果があると考えられているのが、データの蓄積とその活用によるさらなる業務の改善です。
ハイパーオートメーションの実現は業務のデジタル化に他なりません。ハイパーオートメーションが実現された業務の内容はデータとして扱われ、それらが日々蓄積されていきます。蓄積されたデータはデジタルツインと呼ばれる業務の複製であり、AIが利用するデータとして、データサイエンスでの分析の対象として有用なものです。このデータが業務のさらなる改善に繋がると考えられます。

ハイパーオートメーション導入のポイント

DX実現の一つの方法であるハイパーオートメーションを導入する際にポイントとなるのが以下の4つです。

事前のデータ統合・統一化

ハイパーオートメーションでは横断的に企業の業務プロセスをつなぎ、自動化を図ります。そこで問題となるのが、既存のデータがそれぞれの業務分野によって独自の形となってしまっている、いわゆるサイロ化です。
ハイパーオートメーション実現に向けて、データの統合、統一化は重要なポイントです。

業務プロセス全体の見直し

業務プロセス全体の見直しは、ハイパーオートメーションを導入する際に必須と言えます。
業務毎に個別のツールを導入していては、ツールの機能を最大限に引き出すことは困難となり、効果も減少してしまいます。また、各ツールとの連携もできない可能性もあるため、組織全体で業務プロセスの見直しが必要です。導入後の運用体制・各担当者の作業範囲、問題発生時に対処できる体制も事前に決めておくことがハイパーオートメーション導入成功のカギになります。

費用対効果の検討

プラットフォームの導入および構築には多くのコストや時間がかかります。データの一元化やシステム連携、カスタマイズ、従業員のトレーニングにコストが発生する場合もあります。費用対効果を十分に検討し、自社にあったツールやサービスを導入しましょう。

自社で検討が難しい場合は、専門会社に相談することをおすすめします。弊社SMSデータテックでも自動化コンサルティングサービスを提供しています。お客様の状況や展開している業務・サービスに合わせた自動化ツールの提案から導入まで一貫してサポートいたします。

セキュリティ対策の実施

ITやデジタル技術の活用において付いてまわるのがセキュリティリスクです。インターネットの活用は大きな利便性を持ちますが、それと同時にサイバー攻撃のターゲットとなり得る接続を行っています。ましてや、業務プロセス全体をオートメーション化する場合には、それだけサイバー攻撃者が狙うポイントが増える可能性もあり、セキュリティ対策の重要性がより高まります。

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まとめ

ハイパーオートメーションは従来の自動化からさらに進んだ自動化を実現できます。これまで不可能だった自動化が可能になり、業務全体の効率化に繋がります。また、DXや働き方改革にも貢献し、企業の活動そのものに大きな変化をもたらすことが期待されます。

既存の業務の自動化を検討する場合は、ハイパーオートメーションのメリットや課題をクリアにし、自社に合ったツールやサービスを導入しましょう。
SMSデータテックでは自動化コンサルティングサービスを提供しています。自社のみでのハイパーオートメーションの導入が難しい場合はお気軽にご相談ください。

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